＝タクティカル・ギガント＝

=化身=

こういう状況下での、自衛隊員は辛い、自らに災害時の対応能力があるのにも関わらず、その力を個人的に使用する事は許されない。例え、自分達の家族が被害を受けていても、命令がなければ動く事は出来ないのだ。

実際、阪神震災の時は自衛隊は災害出動の準備を終えていたにも関わらず。法律上の問題から初動が大幅に遅れた苦い経験があった。

以後、法律整備が行われて、東日本大震災の時は自衛隊は素早く対応して、多くの人命を救助する事が出来た。しかし、今回は天災のダブルパンチとも言える事態であり、自衛隊の人的展開能力は、ほぼ限界に近い状態に達し始めていた。

豪一が所属する、東部方面隊は日本海側の新潟県から長野県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、静岡県の太平洋側に至る、一都九県に渡る広大な地域を有する。特に首都圏を含めたエリアは経済的にも政治的にも、重要な拠点を多数ようしているだけに、その護りにはかなりの神経を使っていた。