=化身=

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そう、彼らは兵士(ソルジャー)であって、戦士(フェーダイン)ではない、戦士は名誉の為に命を懸けるが、兵士である彼らは生き延びる為に闘う。その意味を含めて豪一は言ったのだ。 いくら、ハイテクで兵器が無人化されても、最後に敵を屈服させ、銃器を突き付けて停戦の証書を書かせるのは、兵士の役目だ。 しかし、ギガントには、銃器を突き付けても効果はない、奴らに必要なのは、絶対的な死。交渉する手立てのない連中には容赦ない殲滅戦闘しかない。ぶっちゃけた言い方をすれば、舐められたら終わりなのだ。 これは、人類とギガントとの生存権を掛けた全面戦争とも言えた。アメリカが得意とする軍事的圧力を掛けるやり方は、最初は順調過ぎる程の効果を上げて、ギガントの殲滅も間近に思われたのだが……。 人類の最強兵器、核を使用した事が逆に人類を追い詰める結果になるとは……、自然界の適応力は人類の予測をいとも容易く超え、多大な被害と損失をもたらした。 自然を克服するやり方の西洋式いわゆる、資本主義は最早、行き詰まっている様に見えたが、アメリカ大統領のジョージ=カーチス、通称、ジョーカーは人類が生き延びる為に、その科学力と工業力の結集を国連総会で訴え、常任理事国を中心に、その主導権を握っていた。
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