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泣き続ける夏美を乗せて、豪一の運転する軽装甲機動車は実家を後にする。本家は心配気に後ろをチラチラ見ながら、豪一に話し掛けていた。
「轟二曹殿、妹さんは、大丈夫でありますか?」
「訳ないわな……、俺もヤバい状況だ」
豪一にこう言われては、本家も黙るしかない。沈黙する3人の車内にスマホの軽い着信音が響く。豪一は、億劫気に自らのスマホを確かめ目を見張る。
「浩二!!、何処に行ってやがった!!」
『すまねぇ、嫁さんのじい様の家だ、千葉からやっと帰ってきたよ……」
「浩二、心して聞け、オヤジとお袋はダメだった……」
豪一の言葉にスマホ越しの浩二が息を呑むのが分かる。しばらく沈黙して、浩二は、夏美の所在を尋ねた。豪一は隣りに居る事を伝え弟を安心させる。
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