18人が本棚に入れています
本棚に追加
豪一は、浩二に夏美を託し再び木更津に戻る、そこで彼は本来の任務に復帰する事になった。
9月末、豪一は心内に復讐の思いを秘めながら静かにその時を待っていた。毎日続く機甲歩兵の稼働訓練。ひたすら反復し地味だが確実に積み重ねていく動きを機体と自らの身体に染み込ませていく作業が続く。
その姿は武道家にも通じるストイックさを感じさせていた。武道家という人種は時として信じられない逸話を持つモノが多い。極限まで鍛え上げられた肉体と精神から繰り出される、その一撃はまさに神業としか言い様がない。
豪一は、機甲歩兵という機械でソレをやろうとしていた。重機オペレーターとして極限まで感覚を研ぎ澄ましマニュピレーターで卵を掴む様な繊細さと、一撃でギガントを切断する豪快さ、を兼ね備えた動きを極め様と肉体と精神をギリギリまで追い詰めていた。
ナターシャは、その姿をエリカと重ねていた。彼女も復讐の為にあらゆる努力を惜しまない女だった。
その彼女も今は居ない。 そして、その執念を継いだ様に豪一は復讐の為に技術を磨き先鋭化していく。
(2人共、業が深いわね……)
ナターシャは、そう呟き、機甲歩兵を眺めながら顎に手をやりため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!