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対峙する2人の間にナターシャが割って入る。片手にスマホを持ち、何やら思惑ありげな表情だ。そんなナターシャを豪一は顔を綻ばせ言葉を誘う。
「轟二曹!、さっきの提案だけど、認証されたわ」
今度は豪一が驚く番だ。自衛隊に比べて、格段に意思決定が早い米軍とはいえ、あまりにも早すぎる対応、初めから設定されていただろうと思える決定の早さだった。
(こりゃあ、薮蛇だったかな……、また、思う壺だな……)
ナターシャの返答を神妙な面持ちで聞き入りながら豪一は、そう思っていた。
「そういう事だから、1週間後、富士演習場でエリカの復帰戦を行います。轟二曹、今から準備にかかって下さるかしら?」
豪一に、作戦準備を促すナターシャに、彼はエリカの動きもたずねた。ナターシャはエリカをチラッと見やり、小さく呟く。
「彼女の機体は、横須賀の原子力空母の中にあるわ、これから2人で受領しに伺うの、もちろん上司も一緒だけどね……」
ナターシャのその一言で、豪一は、エリカの機体が厄介なモノである事を悟ったのだった。
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