=化身=

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横須賀のアメリカ海軍基地に係留された、ジェラルド=R=フォード級原子力空母の7番艦、艦番84のドナルド=トランプにソレはあった。 航空甲板の直下に厳重に梱包されたパッケージングの中身が何であるかは、空母の乗組員達は敢えて聞かなかったし、聞きもしなかった。ただソレを運ぶ任務を遂行する事だけを黙々とこなしていた。 「コイツが何であるかって?、そりゃ興味はあるさ!!、でもよ、命を掛けてまで知ろうとは思わねぇな」 エリカの機体は、更に反対側に係留された、アメリカ級強襲揚陸艦オークランドに移され、海路、沼津港を目指す。航空母艦の乗組員が言うように公然の秘密を整然と運び、当たり前の様に移動していく軍という組織は人間の闇の部分を色濃く反映したモノなのかも知れない。 沼津港に陸揚げされた、エリカの機体は陸路、陸上自衛隊の東富士演習場を目指す。米軍の実験部隊の一行は、トレーラーを連ね東名高速を東に進路をとる。 彼らの行き先である陸上自衛隊、東富士演習場は富士総合火力演習に使われる広大な敷地だ。そこが、今回のエリカと豪一の主戦場になる。 2人の再会から1週間が過ぎ様としていた。豪一とエリカは3日前から現地に入り機体の調整を続けていた。ナターシャは日本側でオブザーバー兼監視役として帯同している。つまり、アメリカ側の動きは、皆目分からなかった。
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