=化身=

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戦いの当日、まだ夜が明け切らない漆黒の闇夜と星の煌めきが交差する中、エリカは例のボディスーツの上にMAー1ジャケットを羽織り、うつ向けになった機体の背中に立ち、その空を見上げていた。 木更津での再会時に胸を触わられ、思わず豪一を張り飛ばしてしまったが、何故か触られた乳房に温かいモノが通っていた。 その闇を切り裂くように、一筋の光りがエリカの視線に入ってくる。やがて、ソレはヒトガタのシルエットを背後から朝日を浴びて浮き上がらせた。 エリカの機体の横に砂塵を巻き上げて停止すると、その機体は胸部の装甲を上にスライドさせコクピットを露出させた。中に乗り込んでいるのは、豪一だった。座席から離れ、機体の腕伝いに器用に渡り歩き、やがてエリカの隣に行き着いた。 「よぅ!!、少尉殿、元気そうだな!!」 木更津で会った時とは、打って変わって、気さくな表情を浮かべる豪一に、エリカはホッとした表情で答える。 「轟二曹!、こんな所で油を売っていて、大丈夫なのですか?」 「心配いらねぇよ♪、大尉殿(コイツ)も一緒だからな」 豪一の機体のコクピットからヒョイと顔を覗かせ、ナターシャが手を振る。 「ハァーィ、エリカ、上手くやってる!?」
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