=化身=

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「その可愛げのなさが、実に少尉殿らしいぜ!!」 豪一は剥き出しになったコクピット越しにエリカを睨み付ける様な眼差しを向けた。その視線にエリカは身体を震わせた。動物の本能的な条件反射がそうさせたのだろ一瞬、動作が遅れるのを豪一は見逃さなかった。 「ついでに言うと、その反応の良さも、特筆モノダゼ!!」 豪一は、そう畳み掛ける様に言うと一気に自らの機体を反転させ、エリカの機体の背後に回り込み両腕を取った。関節を固めて締め上げていく。動きを封じられエリカの機体は沈黙したかに見えたのだが……。 「アナタは"この機体の本当の恐さを知らない"……」 モニター越しにエリカの口がそう呟くのをナターシャは見取っていた。彼女は豪一にその事を伝える為にインカムを手にしたが遅かった。エリカの機体は、その強靭な身体能力をフルに発揮して豪一の機体を圧倒的なパワーで蹂躙し始めた。
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