トライアル・1

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爆発の渦中にある自らの機体を見て、エリカは表情を凍り付かせた。そんな彼女にナターシャは愉快そうに話しかける。 「ハッハハハ、彼、なかなかイカれてるわよ!、躊躇なく撃ったわ、エリカ、あんたとイイ勝負だわ」 ナターシャの言葉に、エリカは不快感と怒りを覚えていた、そして、失望感と刹那さも感じていた。 「確かにイカれてるわね、でも、模擬戦闘で実弾を使う"あなた達、科学技術者"もかなり、イカれてるわ」 「なんとでも言いなさい。私達、科学者は真理の追求こそが使命なのよ!!」 誇らし気に、胸を張り答えるナターシャを無視して、エリカは再び双眼鏡を覗きながら、ため息まじりに口を開いた。 「はい、はい、追求し過ぎて、墓穴を掘らないでね……」 エリカの視線の先で、エリカのダミーを乗せた機体と豪一の機体が接近戦闘に入ろうとしていた。ナターシャも双眼鏡を覗き、口角をあげ、興味津々に語る。 「アノ、ダミーは、エリカ、あんたの思考パターンとギガント達の行動パターンをインプットしてあるから結構、面白い行動をとるわよ!」 士官学校時代からの友人とはいえ、エリカはナターシャのこんな、生臭い感覚が苦手だった。スラブ系白人の綺麗な外観にそぐわない、ドロドロとした内面が体内に隠された内臓を思わせる。 「その言い方、ちょっとトゲを感じるんだけどね……」 「"アレ"に対抗出来るって事は、彼が"オルタネーターとしての才能があると言う事よ」 ナターシャの言葉に、エリカは小さく頷き、双眼鏡を覗きながら下唇を強く噛みしめた。
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