18人が本棚に入れています
本棚に追加
「やっぱり、そいつは化け物だ!!、人間の科学技術を尽くした化け物だ!!」
豪一は、そう叫びエリカの機体の首筋に120ミリ滑空砲身を当てトリガーを引いた。真っ赤な液体が飛び散る。超至近距離からの一撃はエリカの機体に致命的な打撃を与えたはずだった。
「まだ、分からないの……、無駄だと言ってるの……」
エリカの機体が豪一の目前に迫ってきた。最早、まな板の上の鯉、猫に追い詰められたネズミ……、あらゆる切迫した状況を意味する言葉が脳裏を巡る。彼は覚悟を決めた。
「惚れた女の手に掛かって死ぬってのもアリだな……」
豪一は、そう独り言を呟くと静かに目を閉じた。ソノ時を息を潜めて待つのだがいつまで経っても、エリカの機体は動く気配がない。そっと目を開いた豪一の目前には、エリカの機体の姿はなかった。
「き、消え失せやがった……」
機体のコクピットから這い出し、豪一は辺りを見回す、彼の背後から砂煙を上げて富士教導団の機甲歩兵が近づいていた。エリカはまた去っていった……。
「いったい、何処に行きやがった……」
豪一の機体の足元にナターシャを始めとする日本側のスタッフが軽機動装甲車でやってきていた。
「轟二曹、無事だったのね!?、もうダメかと思ったわ!!」
ナターシャがホッとした顔付きで豪一の姿を確認する。さくらや豊田整備長も安心した様子をその表情に浮かべている。そんな彼等を見て豪一は自らの軽率な言動が多大な迷惑を掛けている事を痛感していた。
最初のコメントを投稿しよう!