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「エリカが去る前に、謎の言葉を残して言ったわ……」
「なんでぇ!?、ソノ謎の言葉ってのは?」
豪一の問いかけに、ナターシャはタブレット端末を開き彼に見せる。そこには、数字の羅列と仏典の言葉が残されていた。
「多分、数字の羅列は緯度と経度ね、仏教の言葉の方は、24個の否定をしても尚且つ"存在する"モノを示している文章よ……」
「散々否定しておいて、結局、絶対にあるってのが、分からねぇな……」
「そりゃ、"生命"だな、ドフスレンコ大尉。オレの知り合いの坊主から聞いた事がある」
豊田整備長が2人の後ろからエリカの残した言葉に反応を示していた。ナターシャは、その言葉にタブレット上の文字を目で追う。
「形もなく、色もなく、匂いもなく……、されど確実にソレは存在する、不可思議さ……」
「ドフスレンコ大尉、どうだい?、ピッタリ当てはまるだろ?」
豊田整備長は少し得意気にナターシャに答えるのだが、当のナターシャは、訝しげに首を傾げている。
「確かに、そう言われてみれば、そうかも知れないけど……、なぜ生命なのかしら?」
「アノ機体は生命力の塊みたいな化け物だからな……」
豊田整備長の意味深長な言い草に、豪一とナターシャは同時に頷く。2人共、その危険性を十分に理解していた。しかし、その危険なシロモノに運命を託さなければならない自分たちの不甲斐なさにも焦りを感じていた。
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