=堕天の島=

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いくら非番とはいえ、ここは仮にも戦場と呼んでもいい場所である。艦長である植村に余り緊張感のない行動があれば、下に感染してフネ全体の士気に関わってくるからだ。 そんな豪一の心配を察したのか、植村は真面目な顔つきで彼の杞憂を晴らすべく口を開いた。 「轟二等陸曹、お前さんの心配は良く分かる。確かにこの姿はまずいわな……」 「分かってて、やってるんだったら、余計タチが悪いっすよ、植村艦長……」 「がはは、俺のタチの悪さなら、お前さんも良く知ってるだろ!?」 そうなのだ、この植村という男、ある分野に関しては極めてタチが悪かった、その性分ゆえに上司である、艦長とは、おおすみの副長時代にたびたび衝突していたが、それでも彼が重宝されたのは、仕事が出来るからにほかならなかったからだ。 「豪一、お前は今回の作戦をどう思う?、厄介だと思わんか?」 植村艦長の問いかけに、豪一は静かに頷く。極めてデリケートな問題だが、2人の間には遠慮という言葉はない。
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