=堕天の島=

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「厄介どころか、俺は二度死に掛けてますよ……」 「ふふっ、そいつは御苦労様な事だな……」 植村艦長は、そう言って、ニヤりと笑うと正面の執務机の横にある来客用ソファーに腰を落とした。豪一にも机を挟んだ、差し向かいのソファーに座る様に促すのだった。 「まずは、再会に乾杯だ」 植村艦長は、そう言うと、ウイスキーのボトルを開けグラスに注ぐと、氷とペットボトルの水を入れ、マドラーで軽くステアーし豪一に差し出した。 彼の鮮やかな手付きにみとれていた豪一だったが、艦内は飲酒が禁じられている事に気付き、顔つきを渋らせた。 「艦長、艦内では飲酒は御法度じゃないですか?」 「うむ、そう固い事を言うなよ、せっかくの再会が無粋になるだろ!?」 植村艦長は、そう言って、グラスをあおると一気に水割りを喉に流し込んだ。グラスの中でカランと氷が乾いた音を響かせた。
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