トライアル・1

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オルタネーターとは、自動車部品の一つで、発電機の事をさす。かつては、ダイナモと呼ばれていたモノだ。 ここでは、"発現者"の総称を意味していた。何を発現するのか?、今度の新型は発動機を搭載しない、いや搭載する必要がないのだ。端的に言うと人間自身が発動機であり発電機なのだ。つまりオルタネーターとは人間機関の総称と言えた。 爆煙の中から巨大な右腕が飛び出して、豪一の機甲歩兵の頭部を鷲掴みにする。豪一は、アラートの鳴り響くコクピットでインカムに向かって豊田整備長に冷静沈着に語りかける。 「整備長、コイツの動力源が何処にあるか教えてくれ」 豊田整備長は、目の前に並ぶモニターを見回し、手元のキーボードを素早く叩きデータ入力し解析する。 「豪一、熱反応が実に人間的と言うか、何と言うか、正直、気持ち悪いな、コイツは化け物だ!!」 豪一の脳裏に嫌な予感が走る。一瞬、意識したのは、ギガント、巨人達の姿だった。凄まじい力で頭部がひしゃげ潰されていく。 「ヤバいぜ、コイツの馬鹿力はスゲーぞ、カメラとセンサーがイカれちまう!!」 豪一の乗る機体、五菱重工製、50式機械化機甲歩兵は、米軍の重装備高機動歩兵(heavy equipment high mobile infantry)通称、H・E・H・M・Iを日本人向けに改造を施したモノだ。 五菱重工がジェネラル・ベビー・インダストリーからライセンス生産の権利を買う事で製造を可能にしていた。
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