=堕天の島=

15/44
前へ
/343ページ
次へ
打ち合わせは、夕刻まで続き、同時進行で現場の準備も進んでいた。豪一はエアークッション艇に機体を積み込む作業に従事していた。 いなばの乗組員は、流石に手際がいい、揚陸する物品を無駄なくエアークッション艇に積み込んでいく。いなばが装備する3隻のエアークッション艇を全て使うのは、機甲歩兵を直立させたまま移動出来ない為だ、重心が高くて艇が転覆する危険性がある。作業はリスクを最低限に抑え事故を防止する対策には万全を期さねばならない。 プロフェッショナル達が黙々と作業を進めて行く、無駄口を叩く者がいないのは、作業の危険性を熟知しているからだ、自分たちが今から扱うモノのヤバさを作業前に散々叩き込まれた結果だろう。 パッケージングを済ませた豪一は、ひたすらに彼らの作業を一言もなく見つめていた。プロ達の仕事に口を挟むのは失礼だと心得ているからだ。 やがて作業は終盤を迎えようとしていた。その時、前部エレベーターがハンガーデッキに哨戒ヘリを収納する為に降りてきた。 ヘリコプターのパイロット達が降りてくる。その中に豪一の見知った顔が見受けられた。かつてのアフリカPKO時に艦長の植村と同じく、おおすみで輸送ヘリコプターを操っていた加藤巧一(かとう こういち)二尉だった。彼もまた、豪一を目にして駆け足でやってくる。 「おっ!?、久しぶりだな!!トラブル君!!」 「加藤さん!!、轟ですよ、轟!!」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加