トライアル・1

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「へへ、嬉しいねぇ、ここまでやられると、遠慮は、いらねぇな!!」 軋むコクピット内で、豪一はニヤリと口角を上げると右腕のスレイブシステムを力強く動かした。連動して、機甲歩兵の右腕が動き、エリカの機体にガトリングガンを押しあて撃ち放った。 至近距離からの30ミリガトリング砲の打撃力はエリカの機体をズタズタにする。赤い液体が派手に飛び散り、豪一の機甲歩兵も返り血を浴びる様に液体にまみれる。 「止まらねぇか……、中身を引きずりださねぇとな!!」 豪一はエリカの機体を羽交い締めにして、首根っこからゴキリと頸椎を折り引き抜いた。やがて、エリカの機体は動きを止め、地面に崩れ落ちた。 「ふぅー、やっと、くたばりやがったか!」 豪一が気を抜いて、シートに身体を預けた瞬間、凄まじい衝撃が彼を襲う。 「な、なぁーにぃ!?」 ヘルメットの内側を生暖かい液体が流れる感覚がある、やがて視界が紫色に染まっていく、薄れていく意識の中でモニターに映し出されていたのは、首なしのエリカの機体が立ちはだかり襲いかかってくる姿だった。 「野郎、不死身かよ……」 コクピット内で激しく揺さぶられ豪一はそう、つぶやくと、意識を失っていた。
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