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翌日の早朝、揚陸は始まった。エアークッション艇がいなば後部のウェルドックから滑る様に出撃していく、それぞれの艦艇に積まれた機甲歩兵がゲージに固定され積み込まれ波飛沫を浴びていた。
「うはぁ……、なんて傾斜の島だ!?」
エアークッション艇の艇長真田一尉が南硫黄島を目の当たりにして叫ぶ。海岸はほとんどが切り立った崖であり揚陸出来るのは、南側の海岸だけだ。
エアークッション艇を真田一尉は巧みな操艦術で海岸に寄せて行く、ゴロタ石は想像以上に大きく揚陸作業は困難を極めた。それでもゲルクッション剤を投入し上陸用の橋頭堡とプラットホームを確保する事に成功する。
「よし!!、総員荷揚げにかかれ!!」
真田一尉の号令の元、総員が一斉に持ち場に散り作業を開始する。見事なまでの仕事ぶりに豪一は、改めて感嘆する。
「大将!!、ボケっとしてねぇで、しっかり確認してくれよ!!」
「はっ!!、真田一尉殿、申し訳ありません!!」
真田の言葉に豪一がクソ真面目に答えた事が、よほどおかしかったのか真田は大声で笑いだし豪一の肩を叩いた。
「さぁて!!、じゃあこっちとら、ケツに火が付く前にトンズラするぜ!!」
そう言い残して、真田一尉は、エアークッション艇の操艦室内に帰っていく。
島には豪一と二体の機甲歩兵だけがとり残された。 豪一は早速、50式に乗り込み機甲歩兵の立ち上げに入った。コックピット内にLEDの光りが満ち始める。
「さくら聞こえるか!?、こちら50式、轟二曹だ」
「轟先輩!!、無事に乗り込み完了したんですね!!」
ヘルメットのレシーバから元気良く響く、さくらの声に豪一は顔をしかめる。
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