=堕天の島=

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その場所にたどり着くまでに、エレベーター越しに広がる光景は異様かつ異常な状態だった。あらゆる種類の恐竜がサンプルとして、カプセルに入れられて並べ立てられていた。そして、それは、階が上がっていくにつれ、ギガントの形になっていく。正に製造工程を追う形だった。 「化け物の見本市って所か……」 明らかに人為的な製造ラインが空間いっぱいに広がる光景が豪一の心に違和感を感じさせる。フルオートマチックで黙々と作業を続ける製造ラインだが、これだけのモノを開発維持するには、ソレなりの人手がいるはずだが全く人影が見えない事に彼は更に疑問を募らせる。 「さて、そろそろ仕事時間だな……」 静かに停止した床面の正面壁が滑る様に左右に開く。豪一は50式でその空間に足を踏み入れた。強い光りに満ちた室内の奥に人影が見える。 「待ちくたびれたわ、轟二曹……」 大小多数のケーブルが繋がれた玉座の様な椅子にエリカは右足を上にして足を組み合わせ座っていた。
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