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まったく、酷い話しだった。極論すると、豪一は体のいいモルモット。つまり実験動物……。
「バカ野郎!!、ヒトをモルモット扱いしやがって!!」
「助かったのは、私達の医療班のおかげでしょ」
そうボソリと答えたエリカの話しだと、豪一の機体はエリカのダミー機体にズタズタに装甲を引き剥がされた挙げ句、彼は握り潰され掛け、エリカ本人の搭乗する2号機によって救出されていた。
「一応、命の恩人には、礼をしとかねぇとな」
「ふふふ、高く付くわよ」
エリカの何とも、下品な笑いと、面持ちに豪一は困惑していた。
「か、身体で払えってのは、無しだぞ……」
エリカは一瞬、口を半開きにしたまま、固まる。次の瞬間、豪一に息がかかる位まで詰め寄り罵倒した。
「あんた、ナニ、考えてんの、こっちから、お断りよ!!」
息を荒げるエリカを遮り、ナターシャが豪一に話しかける。その顔つきは、真剣そのものだった。
「ミスター、トドロキ、貴方は選ばれたのよ……」
「選ばれた?、なにがだ?」
豪一はナターシャの言葉に首を傾げる、何に選ばれたのか、皆目見当が付かない。そして、ナターシャの次の言葉に更に困惑する。
「オルタネーターよ」
「オルタネーターぁ!?、なんだそりゃ!!」
困惑する豪一を置いてきぼりにして、ナターシャは更に続ける。エリカはそんな2人を見ながらニヤニヤ笑っている。
「そうね……、日本語にすると、"発現者"と言った方が良いかしら?」
「は、発現者?、さっぱり分からねぇな?」
「本当に、頭悪いわねー、あんたは、そんなんだからこんなケガをするのよ!」
エリカが割って入り、豪一をあげつらいバカにした態度をとるのを、ナターシャが眉を潜めて横目で睨む。
「エリカ、大事な話しをしてるのよ、邪魔しないで」
「はい、はい、悪うござんしたね、続きをどうぞ」
むくれるエリカを無視をしてナターシャは豪一に選ばれた理由(わけ)を話し始めた。
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