修羅の群れ

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「ベイツ司令、各艦の準備は整いましたが……」 原子力空母ドナルド=トランプの艦長、ネルソン大佐は帽子の鍔に右手をやりながら艦隊司令のベイツに話し掛けていた。 アメリカ海軍の空母打撃群もその目を開き、耳を澄ませて、豪一とアルケミアの行動を探っていたが、やはり途中から掌握出来なくなっていた。 アメリカ軍とアルケミアは密約を交わして、お互いの利益を確保している。 彼女の存在をこの世界の住人に覚らせず最先端の技術力を手に入れて圧倒的な軍事力のアドバンテージを持つ事は、この世界を支配する上で絶対に必要だったからだ。そして彼女もアメリカ軍を利用して自らの目的を達成しようとしていた。 しかし、人類の身勝手な行動が地球環境に致命的な打撃を与えると判断したアルケミアは人類と袂を分かつ事になった。 人類の科学力を遥かに凌駕する結界技術は最近までアメリカ軍を始めとする地球人類の力ではこじ開ける事は不可能だった。 彼らが、この島に近づけるのも、アルケミアが結界をわざと緩めたから故に他ならなかった。
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