修羅の群れ

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今回の作戦を指揮する、ゲイル=ベイツ中将はアメリカの名門、ベイツ家の末席に位置する人物だ。一族から3人の大統領を出している米国屈指の政治家の名門が海軍に送り込んだ逸材に今回の作戦を委ねるということに、アメリカ政府の意図が透けて見える。 「大佐、いくさは数だよ」 「ベイツ中将、それは、正論ですな……」 「異世界から来た奴らに、いつまでも居座ってもらっては、困るんでな……」 「我々が主役だと、思い知らせるチャンスだと……」 「人間(ヒト)の世界は、人間が支配すべきだとは思わんかね大佐?」 「極めてまっとうな、お考えだと思いますが……」 「では、始めようじゃないか我々が主役の物語を」 ベイツ中将は静かに作戦の始動を指示する。淡々と冷静にアメリカは利益確保の為に身勝手極まりない画策を開始しはじめたのだった。 「副長!!、攻撃隊の発艦を開始しろ!!、後、強襲揚陸艦隊は上陸準備だ!!」 ネルソン大佐は大声で副長に作戦指示を伝え、帽子を被り直すと艦長席に深く座り込み正面を見据えた。その視線の先には、ペイロード満載のFー18AFが電磁式カタパルトで空中に放たれて行く。 「100年前から、やり方は変わらんな……」 自動化と無人化が進んでも"コト"を起こすのは人間(ヒト)であるという事実は変わらないからだ。
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