修羅の群れ

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「平和だねぇ……」 弁当を平らげ、デカイ岩の上でうつらうつらと昼寝を決め込む豪一を遠くから見据える鋭い視線があった。 「呆れた男(ヒト)ね……、緊張感ってものがないのかしら……」 エリカはコックピットでそう呟き、方舟の突端に取りついた機体の視力を高めて豪一の様子を探っている。 そんな2人の耳に鋭く響く音が鼓膜を打ち震わせる。例のアメリカ海軍の原子力空母から飛び立った艦上戦闘攻撃機がバンカーストライクと呼ばれる、高貫徹爆弾を大量に投下し始めたのだ。 「うおっ!?、なっ!?、なんだ!!」 豪一の見上げる空に多数の機影が浮かぶ。痺れを切らせた米軍が島ごと消滅させるべく、その軍事力を注ぎ込み始めたのだ。 「愚かな事を……、もう少し利口だと思っていたのだけど……」 降り注ぐ爆弾を巧みに避けながらエリカは機体の右腕を水平に振る。その動きに何機かの攻撃機が引き裂かれ爆発しながら空に飛び散って消え失せる。
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