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エリカは方舟の船体を力強く蹴り空中へ飛ぶと米軍機の編隊の真ん中に、その姿を現した。米軍機を足場にして飛び回り次々と撃墜する様子は義経の八艘飛びを彷彿させる鮮やかさだった。
「ひゅーっ!?、大したもんだぜ!!、あの図体で空中戦かよ!!」
豪一は、自らの上空で繰り広げられる戦いを見上げながら、エリカの機体の凄まじいポテンシャルに驚嘆していた。これから、その機体と対峙しなければならない自らの運命を呪いたくなる思いにかられていた。
「おっと、粗方、片付いたみたいだな……」
黒々した爆発の煙と炎が青い空を赤黒く染め上げる。爆散した破片が雨の如く降り注ぐ。米軍も思わぬ攻撃に多少の動揺が見られるようだった。
「轟二曹、現在の状況を知らせて頂戴」
ヘルメットの耳元で静かだがドスの効いた低い女の声が響いてくる。聞き覚えのある声色は、"アノ大尉殿"だ。
「おや!?、ドブスレンコ大尉、随分、ご機嫌斜めの様子ですな……」
「悪くもなるわよ……、米軍が動きだしたわ」
音声と同時に繋がった、映像画面のドブスレンコ大尉は前面に腕組みし憮然とした表情でモニター越しに豪一を睨み付けている。
「あぁ、さっきまで、派手にやらかしてたぜ!!」
「もう一刻の猶予もないわよ!!、早くアノ娘を何とかしないと貴方も死ぬわよ……」
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