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「無駄話は命取りよ」
聞き覚えのある声がヘルメットの耳越しに響く。その時は突如としてやってきた、ギガントの群れの中から禍々しい姿をした"アノ機体"が疾風迅雷の速さで、豪一の機甲歩兵に迫る。機械にはない生々しい躍動感と生命力を全身に纏わり付かせる姿は地獄の使者そのものだ。
「やっぱり獣だぜ!!、しっかり嗅ぎ付けてきやがった!!」
豪一の口からは悪態を付く言葉が吐かれるが、その口調はなぜか嬉しげに聞こえる。豪一の口調にドブスレンコ大尉は不吉な予感を感じていた。
「油断は禁物よ、"あの娘"は、もう人間(ヒト)ではないのだから!!」
「大尉殿、いいのか!?、元・同僚を化け物扱いして」
「今の"あの娘"(エリカ)は 、明確に私達の敵よ、最初に言った筈ね、作戦の障害になるモノは如何なる手段を講じても排除すると!」
そう、人類の未来を切り開く為にも個人的な感傷は禁物だった。豪一同様にドブスレンコ大尉も心を鬼にすると決めていた。たとえそれがかつての親友であっても必ず殺すと自らに言い聞かせていたのだ。
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