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まさしく逃走というに等しいスピードで撤退する豪一にエリカは激怒し追撃してくる。目前の米軍機甲歩兵を蹴散らし怒涛の如く迫る姿はまさに鬼神か阿修羅を思わせる。
「少尉殿、追ってこい!!、あんたとの腐れ縁をきっちりと清算してやる!!」
豪一は機甲歩兵のコックピットでそう叫ぶと巧みな蛇行運動を繰り返し威嚇射撃をしながらエリカの機体を誘導して行った。
「未練がましいわね……、逃げるだけじゃ芸がないわよ」
エリカは口角を歪ませ、不気味な笑みを浮かべると更に機体を加速させて豪一の機甲歩兵に追い付いてきた。エリカの神経とダイレクトにシンクロした機体は、恐るべき反応速度で彼女の思考を動作に変換し攻撃力を発揮するのだ。
「捕まえた……」
その言葉がコックピットに響き渡った瞬間、強烈なGが豪一の身体に襲い掛かった。六点支持のシートベルトが肉体に食い込み一気に後ろに引き戻される。
「ウッぷぅ!?」
強烈な揺さぶりの感覚は三半規管を狂わせ豪一の神経を麻痺させる。盛大な嘔吐にコックピットは胃液の酸っぱい臭いに支配されていた。
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