修羅の群れ

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エリカは無慈悲な一撃で座席ごと豪一の身体を待機する2号機の装甲に叩き込んだ。紅い飛沫が青い機体を染める。とどめを差す様に右腕を抉り抜く。 「終わったわ……」 エリカは豪一の機甲歩兵に背中を向けて島の中心に歩み始めた。しかし背中に異常な気配を感じて振り返った瞬間、"ソレ"は襲いかかってきたのだ。 「コロス…」 今度はエリカが戦慄する番だった。そこに立っていたのは、まさしく"鬼"と言うに相応し姿をした機体。彼女の機体に勝るとも劣らないまがまがしい雰囲気をまとわりつかせ立ちはだかる。 「貴方もこっち側に来てしまったのね……」 人あらざる領域に達して、しまった者に人間の常識は通用しない。豪一はアノ機体に取り込まれ、よみがえって来た時点で人あらざる者へと変質してしまっていた。
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