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「厄介な事になったわね……、自制の効かない状態での覚醒は自殺行為に等しいのよ……」
まさに、リミッターの外れた状態での暴走は自壊するまで止まらない。今のエリカは理性的に判断出来ているが、野獣になった豪一を倒す為には、自らも理性の殻を捨てて野獣に成らなければならない。
「殺らなければ、殺られる……」
彼女は躊躇していた。豪一に散々化け物呼ばわりされ自分自身、修羅と化したと思い込んでいたが、鬼神と化した豪一の姿を見て逆に自らの姿をソコに見てしまった事で現実に引き戻されていたのだ。当然ながら機体とのシンクロ率は低下し思う様に動けなくなっていた。
「何よコレ、私を遥かに上回るシンクロ率じゃない!?」
エリカの言葉には、驚きと恐怖が入り交じっていた。ほんの半時間前までは圧倒的な力で豪一を追い詰めていたはずなのに一瞬で潮目が変わってしまったのだ。立場が逆転する、追う者から追われる者に変わった瞬間、エリカの背筋は凍りついたのだった。
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