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脇腹を押さえて、悶絶しているナターシャを横目にエリカは豪一を指差し、鋭い視線を向けて言った。
「勘違いしないでね、選ばれたと言っても、"アレ"があんたを認めなければ、指一本、動かないわよ」
エリカのそんな言葉に豪一は、少し考え込んでいたが、やがて顔を上げると静かに言い切った。
「やってみなきゃー分かんねぇよ、それに選ぶのは、お前さんじゃねぇー、"アレ"っていう事だろー、だったら黙って見てろ、結果ってヤツをよ!!」
強気な発言の豪一にたじろぎながら、エリカは思わず後ろへ退いていた。
「もぉー、やれやれだわ、思い切りぶちこんでくれたわね」
ナターシャは脇腹をさすりながら立ち上ってきた。どうやら回復してきたようだが、まだ結構痛いらしく顔をしかめていた。そして、豪一に向かい口を開いた。
「それから、ミスター轟、貴方は"オルタネータ"ーと言っても、あくまでも日本サイドの人間ですから、我々の機体は使用出来ないのよ、五菱重工の機体をベースに開発を進めてもらう事になるわね」
つまり、ナターシャの話しだとアメリカの機体でなく日本の機体で、精神感応対処機体を完成させろとの業務命令になっているらしく。
その辺りは"大人の事情"で察してくれとナターシャの目が訴えているのを、豪一は感じていた。
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