修羅の群れ

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目の色が変わるとは、正にこの事だろう。真紅の瞳となったエリカの獣性は最高潮に達する。しかしそれは同時に身体への負担の増大も意味していた。 「細胞、いや遺伝子レベルでの増強だから後は保障出来ないわよ……」 アルケミスの声がエリカの周りにある液状緩衝材に響き、くぐもった音域で聞こえる。僅かに残った理性の欠片が消失した時、エリカと機体は完全に同調していた。 「悪魔だわ……、紛れもなく悪魔、理性なき本能に支配された悪鬼そのものの姿だわ……」 自らが、その発端となったのにも関わらず。エリカ自身から出る憎悪にまみれた感情の嵐は余りに生々しくアルケミスは、その感情の怒涛に翻弄されそうになっていた。
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