修羅の群れ

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エリカがアルケミスの手引きによって覚醒した時、豪一は機体の中で正気を取り戻していた。 「うぇ!?、何で、素っ裸なんだ!?」 豪一は、自らの姿に戸惑いを覚えながら、次第に記憶を取り戻していく。巨大な指が目前に迫り当たった瞬間肉体が砕け散っていく感覚が甦り、思わず嘔吐する。身体がミンチ状態になり血の池に沈む様は自分のモノとはいえ気持ちの良いものではない。 「まさかな……、一度死んでるのか俺は……?」 エリカの機体に捕らわれ、待機していた2号機に叩きつけられたまでは覚えているが、それ以後の記憶がない。しかしその間にエリカを追い詰めていた事は、何となく感じていた。 だが、正気を取り戻した今は立場は再び逆転し状況は不利になっていた。獣の感覚と速さで迫るエリカに今の豪一には抗う術がない。 「訳がわからんうちに殺された方がマシだったかな!?」 武器がないか必死に辺りに視線を走らす豪一の目に1つの物体の存在が飛び込んでくる。最初の接触時に一撃で弾き飛ばされた左腕が地面に突き刺さっていた。 「アレが使えるか?」 素早く起動した豪一は機体を全力で走らせ、その左腕を地面から抜き取った。左上腕に仕込まれたある仕掛けを確認する。それは奇跡的に稼働出来る状態にあった。 「こい!!、少尉殿、決着を付けてやる!!」 襲い掛かってくるエリカの機体に対して豪一は真正面から対峙する。確実に一撃で仕留める為に逃げる事は許されない。恐怖心をねじ伏せ豪一はタイミングを計っていた。
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