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豪一は、ある一点に必殺の一撃を叩き込む事に呼吸を整え始めた。恐怖心は呼吸を乱しタイミングをずらす元凶となる。確実に突き刺さす為には平常心を保つ以外に方法はなかった。
迫るエリカの機体の"ある一点"に豪一は意識を集中する。剣豪の如く見切る為に感覚を研ぎ澄ませ、その瞬間を狙う。刹那とは、ほんの瞬きをする僅かな時間の事を指すが彼はその一瞬に全てを賭けていた。
「すげぇ勢いだが、殺れるかな……」
勢いというのは恐ろしい。小手先のチンケな技など、あっという間に吹き飛ばされる。怒涛の如く攻め寄せるエリカには、その勢いがあった。
だがエリカの機体には、生物故の致命的な弱点があった。それに豪一が気づいたのは皮肉にも同じ系列の機体に乗り込んだからだ。
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