修羅の群れ

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「もらったぁ!!」 豪一は雄叫びと共に、機体の手にした機甲歩兵の左腕をエリカの機体の中心部、人間でいう臍にありったけの力を込めて深々と打ち込んだ。生物の臍は産まれる前に母体と唯一繋がるパイプラインのようなモノである。 ギガントとて例外ではない。カプセル内で育まれるとはいえ臍の緒から栄養源を補給する事には変わりなくそこは産まれ落ちた後も必然的に穴は残るのだ。 その穴を目掛けて豪一は機甲歩兵の装備兵器、対戦車杭打(パンツァーニードル)を撃ち込んだのだ。 この兵器は火薬式の極めて単純な構造の武器である。左腕を敵に押し付ける事で腕に仕込まれたニードルが砲弾の火薬の力で撃ち出されるのだ。 120ミリの超高速徹貫弾を撃ち出す火薬の力は凄まじくオリハルコンの細胞装甲の隙間を下から貫いて、エリカの身体を引き裂いたのだった。
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