修羅の群れ

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豪一の機体と対峙したエリカは自らの機体の右腕を振り上げ、その手刀で豪一の機体を左肩口から一気に鋭く袈裟懸けで切り捨てた。 「ん!?、なんでぇ外してやがる……」 豪一が、そう呟いた瞬間、彼の身体はやはり機体と同じく左肩口からパックリと切り裂かれ内臓が一気に溢れ出してコックピット内に広がる。 「オワッタワ……、終わった!?……」 前面の敵が消滅した事によりエリカは正気を取り戻した。しかし、彼女の目の前に広がる光景は悲惨なモノだった……。 「なっ!?、ナニよ、コレ!?」 2号機の下半身だけが棒立ちになり、その傷口からは大量の液体が噴水の如く噴き上がり辺り一面を血の池地獄の様な光景に変えていた。そして、エリカはその液体の中に無惨な豪一の姿を発見する。 「えっ!?、あっ!?、嘘……、嫌、嫌、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!」 自らの手で愛した男を殺めてしまった事に対する、絶望的な叫びが島中に木霊する。その声の衝撃波は島で繰り広げられる殺戮の宴を一瞬とはいえ止めてしまったのだった。
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