修羅の群れ

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無論、米軍はドブスレンコ大尉の動きなどは、とっくの昔に分かっており、あえて見ない振りをし静観する構えだった。 原子力空母ドナルド=トランプの艦橋では艦長のネルソン大佐と艦隊司令ベイツ中将がそのドブスレンコ大尉の動きに眉をひそめていた。 「ベイツ中将、気になる動きがあるのですが……」 「例の大尉の事かね?、何を企んでいるかは、知らないが酔狂な事だ……」 「危険な要因は排除すべきだと思われますが中将……」 「たかが、一士官のやる事に構ってはおれんのだよ我々は……」 彼らは、自分達が戦略のど真ん中に位置していると確信してやまない。しかし、ソレさえもアルケミスの手のひらで踊らされている事に2人は気付いていなかった。 「戦況は我々が圧倒的に優勢な状態にある。ここは、一気に全戦力を投入してカタを付ける!!」 ベイツ中将の確信めいた言葉が艦橋に響き、兵士達に"勝てる"といった安堵感が広がったのだった。
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