彼岸の彼方

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そこは、ひたすらに黄色い花の原野が広がっていた。側には清らかな流れの川面と石河原になっている。 豪一は花の中で目覚めた。上体を起こすと首を左右に振り、辺りを見回したのだった。 「んん?、何処だよココは……」 穏やかな空気感が辺りに漂い常世とは異なる雰囲気だ。懐かしい感じだが現実感がない。服装は機甲歩兵搭乗時の格好だ。豪一は立ち上り川辺に向かって歩き始めた。 石河原では、小さな子供が石を積み上げていた。しかし、積み上げた石塔を毛皮のパンツを履いた男が壊してしまう。 「あの野郎!!、子供に何てことしやがる!!」 豪一は河原に向かって、走り男に追い付くと、いきなり飛び蹴りを食らわす。 「ぐぇ、何するだべぇ!?」 「そりゃこっちのセリフだ!!」 振り向いた男の顔つきは、ナマハゲにそっくりだった。豪一は唖然とするが次の瞬間、ナマハゲ男に苦言を呈した。 「そのコスプレはともかく、幼い子供にその仕打ちは大人げないぜ……」 「そう言われても、これがオラの生業だべぇ……」
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