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「そんな、ふざけた仕事があるかよ!!」
「轟二曹、その人の言っている事は本当よ、ここは賽の河原よ……」
ナマハゲ男に再度詰め寄ろうとした豪一の耳に聞き覚えのある声色が飛び込んできた。声のした方へ彼は顔を向けた。
「おっ、少尉殿、そういう事なら地獄まで付き合わせてもらうぜ」
ニヤリとする豪一に少尉こと、エリカは憮然と返答する。明らかに拒絶している態度が見え見えだ。
「確かに三途の川の畔だけど私はまっぴら御免被ります。轟二曹、貴方にも生きて帰ってもらうわよ!!」
「三途の川って事は向こう岸は"あの世"ってわけか、生きてるうちに来れるとは思わなかったぜ……」
豪一の言葉を聞いて、エリカは苦笑いしている。実際に死にかけているのは豪一本人なのだが、エリカも成り行きで幽体離脱の様な状態で意識が三途の川の手前まで引っ張り込まれている。後一歩踏み込んでしまえば、彼女も逝ってしまう危ない状態だ。
そんな状況下でも彼女は実に冷静な思考で意識を保ちここが何処であるかを理解してしまうのはリアリストである女性特有の感覚なのかも知れなかった。
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