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「轟二曹、自分が今、どんな状況に置かれているか分かってる?」
エリカは、豪一に向かい彼の鼻先に人差し指を突き付け、まじまじと顔を見つめて言ったのだった。
「少尉殿、あんたに殺された……、だろ?」
豪一は、その鼻先を自らの右手人差し指で擦りながらさらりと答える。その様子にエリカは苦笑いして小さくため息を付いた。
「しっかり分かってるじゃない……」
「実感は、ねぇがな……、なんせ初めての体験なんでな……」
当たり前の話しである。臨死体験のある人間はそうそういるモノではない。もっとも2人も、この領域に踏み込むのは初めてであり、機体を構成する主要物質、オリハルコンの性能に多分に依存している事は確実だった。
そして、豪一の耳に懐かしい聞き覚えのある声が響く。その声にハッとした豪一は顔をその方向に向けた。
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