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エリカとナターシャは、医務室を出て、並んで歩いている。エリカは頬をさすりながら、ナターシャに不満気に話しかける。
「あんた、本気で引っ張叩いたでしょ!!、口の中、切れちゃったわよ!!」
「なかなかよかったわよ、オスカー賞モノの演技だわ」
「それって、バカにしてるでしょ!、本当になんで、こんな娘(コ)と友達になったかな……」
「ふふ、"類は友を呼ぶ"って諺があるわよ、私も貴女も"イカれてる"って点では同類なのよ諦めなさい」
その言葉に下を向き、大きなため息を付いたエリカだったが、やおら頭を上げ、ナターシャの横顔を見ながら言う。
「アイツにあんな重要なコトを漏らして、大丈夫なの?」
「あら?、信用出来ないの彼の事、内偵した限りは、人格、思想、人間関係等々、極めて良好で問題はないわよ、付き合ってる特定の異性も居ないし、エリカ、貴女ちょうど良くない?」
「はぁ!?、なぁに言ってんの!!、無い、無い、絶対に無い!!、私の理想はイケメンのお金持ちなの!!、ゴリラは規格外品ですから」
頭を左右にブンブン激しく振り、最大限の否定形で豪一との関係を拒否するエリカにナターシャは怪訝そうな顔をする。
「だって、あんたの視線の先には必ず、あの男がいるんだけど……、私の気のせいかしらねぇ?」
エリカはナターシャの言葉に愕然としていた。自分でも気付かないうちに、あんなゴリラ野郎に惹かれているとは、痛恨の極みだった。
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