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向こう岸から凄い勢いでボートが走ってくる。その上には何人かの人影が見られる。
「うっ!?、ボート!?」
意表を突かれ、豪一は唖然とした表情でボートが近づくのを見守っていた。ボートの上には、若い白人男性と小さな女の子が座っていた。
ボートはエンジンを止めると惰性でこちら側に近づいてきた。ボートの船頭が手を上げて、こちら側に合図する。
(三途の川の渡し舟ってのは、ボートかよ!?、何か変だぜ!?)
訝しげな表情でボートの船頭を見ながら豪一は船上の男女2人が岸辺に降り立つを確認していた。エリカは少女の顔を見て息を飲んだ。
「エリカお姉ちゃん……」
少女の口を付いて、飛び出した言葉にエリカは激しく動揺する。彼女の脳裏に"あの日の悲劇"が蘇ってきたのだ。
「うっ、ウソでしょ!?、マリナは死んだはずよ!!」
エリカは目の前の少女が死んだ妹のマリナである事を認めようとしない。
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