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「悪いけど、私はまだ逝かないわよ!!」
エリカは拒絶の表情と態度をあからさまに出して、ボートに乗る事を拒否する。マリナは困った様な顔つきでエリカの右腕に触れた。
「あれ!?、右腕が……」
エリカは解放してなくなった筈の右腕が存在している事に驚く。
「お姉ちゃん、精神の世界では、何でもアリだよ」
マリナはクスクスと笑いながら、エリカに近づきその体に抱き付いた。
「ウッ、何よいきなり!?」
マリナの身体に触れた瞬間から、彼女自身の思考がエリカの脳内に流れ込んでくる。あの生々しい記憶が再び脳裏に走り電撃の様に脳細胞を焼き尽くす。
「ごめんなさい……、ごめんなさい……、私が悪いの!!」
両手で頭を押さえエリカはうつ向き悶え苦しんでいた。マリナを殺したのは自分だとの思いは常に心の奥底に潜み渦巻いていた。ソレは澱の様に積み重なり、やがてエリカの心に闇をまとわりつかせた。
「エリカお姉ちゃん、それは違うよ……、世の中は巡り合わせで成り立っているの……」
「巡り合わせ!?、あなたが死んだのが巡り合わせなの!!」
エリカはマリナの言葉に反論する。そんな事で妹が死んだなどと言うことは信じたくなかった。
「エリカお姉ちゃん、この世界は理(ことわり)の力で動いているの……、その力には何人たりとも逆らえないわ……」
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