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豪一の不安気な表情を見てとったルークは笑いながらその不安を打ち消す一言を口にする。
「ハハッ、ご心配なく、私は既にあちら(彼岸)側の人間だからね。それよりも彼女の事はお願いしますよ」
既に死んだ人間から、"お願いします"と頼まれもなぁー、と困惑する豪一の背中にエリカは"しっかりしなさい"との思いを込めた一撃を手のひらで決める。
「おわ!?、なっ、何しやがる!!、痛てえじゃねぇか!!」
豪一は振り返ってエリカを睨み付ける。その姿を見てルークは安心した様子で2人に語り出した。
「きみ達、2人は出逢うべき運命にあったんだよ、そこには私が入り込む余地はなかった……」
「だから、あんたは"アノ戦場"で死んだってのか!?」
ルークの言葉に豪一は、異を唱える。すべて運命で片付けられるなら、ソレに従うしかない事になる。
「ミスタートドロキ、そう思うのは、もっともだね、しかし私の死がきっかけでキミはエリカと出会う訳だ。無駄死にとは言えんだろ?」
「そう言われちまったら、あんたの死は必然的って事になっちまうぜ!!」
豪一は、そう答えると厳しい視線をルークに向かって投げ掛けていた。豪一にとって誰かの犠牲の上に自らの幸せを築く事などあり得なかったからだ。
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