彼岸の彼方

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豪一お兄ちゃん、この世界自体が一つの生命体なの、だから皆つながっているの」 「話しがデカ過ぎて、俺の頭じゃ、理解できないぜ……」 マリナの話しに豪一は頭を抱えて考え込んでしまうが、エリカは、そんな姿の彼を見て眉間にシワを寄せて"しょうがないわね"といった態度で口を挟んできた。 「その悪い頭でも理解できる様に説明してあげるわ!」 「そういう言い草は、止めろと言ってるだろ!!」 豪一は、そんなエリカの口ぶりに怒りを爆発させる。マリナとルークそして響子は苦笑いしながら2人のやり取りを見ていた。 「私の育て方が悪かったのかしらね……」 その声を発したのは、マリナの隣にいつの間にか立っていた女性だった。 「あっ!!、……」 エリカは口に手を当て、絶句している。身体が小刻みに震えている。その女性はエリカに優しい笑顔で語り掛けてきたのだった。 「エリカ、大きくなったわね、お父さんは元気にしてる?」 「か、母さん……」 エリカは、そう言ったきり再び絶句してしまう。顔はくしゃくしゃになり目元には涙を浮かべている。
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