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実に意地の悪い提案だった。今の人類の状況をわかった上での条件提示。エリカ達が飛び付いて来るのを見越したその発言に性悪女の辛辣さを感じてエリカは思わず顔をしかめた。
「少尉殿、受けてやろうじゃあねぇか、どの道、俺達人類に選択肢ねぇんだ!!」
豪一の言葉を受けて、アルケミアの顔に凄味のある笑いが浮かぶ。その目付きは獲物を狙う野獣そのものだ。
「でも、この人は徹底的に私達を利用するつもりよ!、それでもいいの!!」
エリカはそういうとアルケミアを凄まじい表情で睨み付け口元をグッと噛み締めた。
「で、アルケミア、俺達は何をしたらいいんだ?」
豪一はアルケミアに自分たちにどれだけの選択肢があるのかを尋ねていた。
「豪一、あなたギガントになってみない?」
それに対するアルケミアの答えが、この台詞であった。その場に居る全員が沈黙する程の発言が放たれたのだ。
「この期に及んで、貴女って人は私から大切なモノを奪うつもりなの!!」
その沈黙を破って、最初に口火を切ったのはエリカだった。ギガントに奪い続けられた人生を送ってきた彼女は今また手にしかけた幸せをその根本原因ともいえる人物に奪われ様としていた。
「分かった、それで人類が救われるなら、やってくれ!!」
豪一の言葉にエリカは驚きの表情で彼を見つめる。最愛の人間が最も憎む対象になってしまう皮肉さに彼女は愕然としていた。
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