彼岸の彼方

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「もっともな話しだぜ、人間の居ねぇ世界では神も悪魔も必要ねぇからな」 豪一は、これから自らがギガントになる過酷な運命を受け入れなければならない。人間の世界を守る為に化け物に成らざるを得ない矛盾した方法しかない事にエリカが怒りを露にしている。 「まだ、納得がいかない様ねエリカ、本人は腹を決めてるのよ」 アルケミアの言い草にエリカは更に怒りを募らせる。イラつくエリカに豪一は、諭す様に話しかけていた。 「そんなにカリカリしなさんな少尉殿、成る様にしかならねぇのが世の中ってやつだ」 悠長な豪一の話しぶりに、エリカは怒りの矛先を彼に向けた。 「何なの、その諦めきった様な言い方は、貴方には困難を克服しようとする気概はないの!!、それでも"サムライ"の血を引き継いでいる者なの!!」 エリカの辛辣な口振りに、豪一はボソッと答える。 「ウチは先祖代々、立派な農業従事者の家系なんだがな……」 「そういう意味じゃないわよ!!、男として、"どうか"って言っているのよ!!」 「男としてどうかだって?」 豪一はエリカの質問に小首を少し傾げ眉間にシワを寄せて考え込んでしまった。
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