彼岸の彼方

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「2人共、余り時間がないわ御家族との別れは済んだかしら?」 アルケミアが珍しく殊勝な言い回しで豪一とエリカに家族に別れの挨拶をする様に促していた。 「オヤジ、後は俺が何とかするから心配するなよ!!」 豪一が父に気を使って答えるが当の本人は気に入らないらしくゴネている。 「あらあら、相変わらずゴネってるじゃないのぉ!?」 アルケミアが口を歪ませ、豪一の横に振るい立つ。 「ワシらは、誰にこの怒りをぶつければいいんじゃ!!」 父親から、思わぬ言葉が飛び出してきた。彼はギガントによって殺された事に納得していなかったようだ。 「なぜ?、抗うの。運命には逆らえないわよ」 アルケミアの冷たい視線が豪三に鋭く注がれていた。何者を寄せ付けない様な、寒々とした視線に豪一もエリカも肝を冷やしていた。
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