業火の中で……

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「おーい、轟二曹、その方は上官だぞ!、そのモノ言いは失礼じゃないか?」 2人の背後から声を掛けてきたのは、この基地の司令官、安住一佐だ、白髪混じりの7、3 分けの頭にチョビヒゲの容姿は、昔、ヨーロッパにいた何処ぞの独裁者にそっくりだ。 「教育が行き届かなくて、申し訳がない、ビルシュタイン少尉」 頭を下げる安住一佐に、ビルシュタイン少尉は、あわてて敬礼し逆に恐縮した面持ちで話しを切り替えした。 「いいえ、私の方こそ冷静さを失っておりました」 茅場=エリカ=ビルシュタイン、27歳、日独混血、 アメリカ合衆国陸軍少尉、アメリカ陸軍士官学校(ウエスト・ポイント)を卒業。経歴をみれば、高卒の豪一とは比べものにならない、ハイスペックな学歴と地位。見た目も抜群でいい女だった。 「安住一佐、その女、少し胡散臭いんですがね……」 「誰が胡散臭いですって!!」 エリカは、血相を変えて豪一に詰め寄って胸ぐらを掴み激しく揺さぶる。 (あー、むしろイイ匂いか……コイツ) 豪一は、むしろ至近距離から発散されるエリカの妖艶な色気に敏感に下半身が反応していた。
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