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「はい、はい、ゴリラの豪一君でしたね」
エリカは臆面もなく、豪一をからかい、ナターシャは後ろで笑いを噛み殺している。
「少尉殿、あんまり、他人(ヒト)をからかうもんじゃねぇぞ……」
豪一は、そう言うとエリカの入っていたシュミレーターを覗き込んだ。赤紫のゲル状ゼリー体がねっとりとした粘液をたたえている。
(うへーっ、まるで、女性の中身みてえだぜぇ……)
「どうしたの?、そんなに珍しいかしらシュミレーターが……」
エリカは、豪一の背後からシュミレーターを覗き込み不思議そうに見ている。
「おう、いやなぁ、まるで生き物の中身みてぇだなと……」
その一言に、エリカは眉をピクッと蠢かす。そんな彼女の表情の変化を気に止める事もなく豪一は言葉を紡いでいく。
「なんとも、卑猥と言うか、イヤらしい造形だな」
豪一の言葉にエリカは、思わず吹き出していた。彼女の思っていた事でなく、別の意味で彼らしい発想だと気付いたからだ。
だが、やはり豪一の本能的な直感、つまり"野性の勘"は侮れないと改めて感じていた。
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