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二台あるシュミレーターのうち、向かって右側が豪一の担当機だ、極普通の機甲歩兵のコクピット仕様。
いかにも、兵器然とした操縦席は計器や各種センサーのタッチパネルと液晶モニターが眼前に並びメカニカルな雰囲気が否応なしに感じられる。
そして、左側のシュミレーターはエリカの機体に搭載されているものだ。内部はゲル状ゼリー体の緩衝材で充たされ、前方にA4サイズのタッチパネルが申し訳程度に付いている。
「おい、少尉殿。外回りは、どう見るんだ?、ガンカメラも見当たらねぇし」
豪一は、振り返りエリカに声を掛けて訪ねる。
「あぁ、それね壁面全てがモニター画面なの、いわゆる全天スクリーン仕様。360度、ばっちり見えるわよ!」
相変わらずエロいボディーを身体にフィットした黒いコンバット・スーツに包み込んで、エリカは豪一の質問に楽しげに答えていく。
「座席が見当たらねぇが……」
「座席はないわよ、このゲル状の緩衝材。リンゲル・ライフ・クーラントが兼ねてるのよ、基本的に立ちっぱなしね」
「立ちっぱなしねぇ……」
「あんた、何か変なコト考えてない?」
そう言うと、エリカは冷ややかな視線を豪一にむけた。
「はぁ!?、少尉殿
こそ、考え過ぎだろが」
豪一は、再び振り返り、エリカを藪にらみにする。
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