トライアル、2

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「そんなに、美味なのコレ」 ナターシャは、おそるおそる"その物体"を口にほおりこんだ。一瞬の沈黙の後、顔色が変わる。 「何コレ!!、美味しいわ!!、まるで、極上のクランベリージャムかムースみたいよ!!、コレは、クセになるわよ」 ナターシャの余りにも、過剰な反応にエリカは冷ややかな視線を送りながらも、彼女が次々と"それ"を口に入れていくのを見て、エリカ自身も一口欲しくなっていた。 「ウソでしょ……、緩衝材よコレ……」 エリカはおっかなびっくりしながら、"それ"を口にした。甘酸っぱい旨味が口いっぱいに拡がる。 「ウソー、マジ、激うまじゃないの!!」 エリカは、ナターシャと先を争うように食べ始めた。豪一は2人の無心に食べる姿を呆然と眺めていた。 「轟さん!!、お代わりが欲しいんだけど……」 ナターシャが物欲しそうな目付きで豪一に催促すると横からエリカも便乗して、偉そうに要求を通してきた。 「豪一、さっさと取って来なさいよ!!」 「お前なー、さっきまで、人に散々、人間じゃないような暴言を吐いといて、お代わりたぁー、いい度胸だぜ!!」 「能書きはいいから、早く取ってきてよ、豪一!!」 豪一は、必死に抵抗したが無駄だった……、食欲旺盛な2人の女は欲望に素直に従い、豪一を使い走りにして、その欲望を満たそうとしていた。
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