トライアル、2

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結局、豪一は再び、シュミレーター室へ逆戻りし、2人のためにリンゲル・ライフ・クーラントをアルミ鍋一杯に満たして、ブリーフィングルームに取って返した。 「おーい、お代わり持ってきたぞー」 「あ、ご苦労様、でも、もう要らないわよ……」 ナターシャの一言に、豪一はガッカリする。更に追い討ちを掛けるように、エリカがダメ押しの一撃を放った。 「物事は常に変化してるのよ、それも分からないアナタは、だから間抜けなのよ」 女心と秋の空とは良く言われるが、それにしても酷い仕打ちだ、彼女達の気まぐれなわがままに付き合わされた挙げ句、あっさり切り捨てられる。 「全く、本当に間抜けだな……」 エリカとナターシャは豪一が激昂しない事に少し驚いていた、女2人にいい様にからかわれ弄ばれたのだ、怒っても良い状況であるのになぜ感情を爆発させないのか?、不思議だった。 (彼、なかなか、タフだわ、工兵の出身だけあって地味で煩雑な作業に耐えられるだけの精神力の持ち主ね、さすがは、オルタネーター適格者ね) ナターシャは、心の中でそう呟くと豪一の兵士としての優秀さをデータ上だけでなく、実際に目の当たりにする事で、改めて確認出来たことが大きな収穫だと感じていた。
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